学校のいじめが原因でうつ病に?その他の後遺症や対策法も解説します
学校で起こった子供同士のいじめは、身体的な傷だけでなく、うつ病といった精神的な傷も大きく作りかねません。特に精神的な傷は長期間にわたって残りやすく、子供の将来にも大きな影響を与える可能性があります。
今回は学校のいじめが原因で発症するうつ病やその他の後遺症について、いじめの対策法と一緒に解説します。
学校のいじめが原因で起こるうつ病とは?その他の後遺症も解説
冒頭でも述べたように、いじめは身体的な傷だけでなく精神的な傷も作ります。精神的な傷の代表的なものがうつ病、パニック障害、そしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。
まずはそれぞれの症状や治療法などを見ていきましょう。
うつ病
うつ病は「気分が優れない」「落ち込む」「いままで好きだったことへの興味・関心が薄れる」といった精神症状だけでなく、「食欲が落ちる、または高まる」「眠れない、または過眠気味となる」「疲れやすい、体が何となくだるい」などの身体症状を特徴とします。
どのような症状がどの程度表れるかには個人差があり、厚生労働省の調査によると男性よりも女性の方で患者数が多いとされています。
うつ病はもともと病気にかかりやすい気質(性格)というものがあり、そこに大きなストレスがかかることで発症するもの。真面目な人や完璧主義の人、自分に厳しい人、凝り性の人などは発症しやすいともいわれています。
うつ病の治療は「薬物療法」「カウンセリングなどの精神療法」「休養」「環境調整」が基本です。発症から回復までには時間がかかるのが一般的で、焦らずに治療を続けていく姿勢が欠かせません。
パニック障害
2つ目はパニック障害です。
突然特別な理由がないにも関わらず、動悸やめまい、発汗、息苦しさ、手足の震えといったパニック発作が表れます。「このまま死んでしまうのではないか」といった恐怖感にも襲われ、最初に症状が表れた際は、本人は何か大きな病気ではないかと疑うでしょう。
しかし内科系の医療機関を受診しても異常は見当たらず、時間が経つと症状がウソだったかのように消失します。
「また発作が起きるかもしれない」といった予期不安が起きたり、発作が起こりやすい場所への移動を避けたりすることが徐々に増えていきます。
パニック障害の治療に用いられるのは「薬物療法」と「精神療法」です。
PTSD
PTSDは心的外傷後ストレス障害の略称。戦争体験や暴力体験、交通事故といった大きくショックとなる出来事が原因となって発症します。
最も大きな特徴の一つがフラッシュバックです。原因となった出来事に関連する事象に触れることがきっかけとなり、突然当時の記憶が鮮明によみがえります。まるで当時の出来事を体験しているかのような錯覚におちいり、恐怖感や無力感が襲ってきます。
日常生活ではささいなことで怒ったり泣いたり、落ち着かなくなったりと、感情のコントロールに支障が生まれてくるでしょう。さまざまなものへの興味・関心が薄れ、幸福感も持てなくなってしまいます。
「薬物療法」と「精神療法」が治療の根幹です。
うつ病やその他の後遺症が続くと、不登校や引きこもりになる可能性も高まる
いじめが原因となってうつ病やパニック障害、PTSDといった症状が表れると、不登校や引きこもりになる可能性も高まります。
治療介入が遅れたり、症状が重かったりすると、疾患自体がなかなか改善しません。
学校へ行けない状態が続くと外出すら難しい引きこもりになったり、さらに仕事にも就けないニートになったりする可能性も出てくるでしょう。
症状が表れたら早期に治療を開始することも大切ですが、何よりも必要なのはいじめがわかった段階で適切な対処をすることです。
学校のいじめを長期化させないためにできること
最後に学校のいじめを長期化させないためにできることを、全部で5つ紹介します。
子供の様子を日常的によくチェックする
いじめに気が付くためには、普段から子供の様子をよくチェックしておくことが欠かせません。子供のささいな変化をキャッチすることで、いじめに早い段階で気付けるようになります。
まずは子供の持ち物をチェック。通学用のバッグや教科書、ノート、文房具、体操着などを見て、破損やいたずら書きがないかを確認してください。
また子供の表情や態度の変化にも気にかけたいところ。「表情が優れない」「笑わなくなった」「会話がなくなった」「怒りやすくなった」など、以前と比べて変化がないかどうかをチェックしましょう。
無理に学校へ行かせない
いじめが発覚した場合、子供を無理に学校へ行かせる必要はありません。いじめ問題が解決していない場所へ子供を行かせると、ますます身体的・精神的な傷が大きくなってしまいます。
子供が行きたいと口にしても、親から見て行かせない方がよいと判断した場合は、無理にでも休ませましょう。
親が守ると言葉で伝える
いじめられた子供の心はひどく傷ついています。子供が生きている世界はとてもせまく、友人関係の中でいじめられると、「まるでこの世の終わり」のような感覚におちいってしまうでしょう。
親が面と向かって、子供を守ると伝えてください。親は何があっても味方であると伝えるだけでも、子供の心は幾分も救われるものです。
いじめの証拠を残しておく
後々学校や関係機関へ相談するときのために、いじめに関する証拠を残しておきましょう。写真やビデオに撮っておくだけでなく、いじめられた日時や相手、内容をメモにして残しておくことも大切です。
また学校外で起こるいじめの証拠をつかみたい場合、探偵事務所へ調査を依頼する方法もあります。専門的な調査スキルや機材を活用して、効果的にいじめの証拠を押さえてくれるでしょう。
学校へ相談する
いじめの証拠が集まったら、学校へ相談してください。まずは担任の先生とアポイントをとり、証拠を提示しながらいじめの内容を伝えます。学校側から今後の対応について説明があるはずです。
いじめの調査などで学校側に対応してもらう際は、いつまでにしてもらえるのか期限を設定してもらいましょう。期限を設定することで、迅速で確実な対応が期待できるようになります。
まとめ
学校で起こるいじめが原因でうつ病やパニック障害、PTSDといった精神疾患になる可能性も十分に考えられること。病状が長引くと不登校や引きこもり、ニートにもつながるので注意が必要です。
今回紹介した対策法も参考にして、子供をいじめの被害から守りましょう。