探偵は『違法性のある調査』は行わない!できない調査とは?
浮気の実態や人探し、信用調査などを頼める探偵・興信所の調査。ただ、頻繁に利用する方は少ないため「なんだか怪しい」と思うときもあるかもしれません。そこで探偵や興信所などの調査機関が行うものに関しては、探偵業法で調べられるラインが明確に決められています。今回は探偵に頼めること、頼めないことをご紹介しましょう。
DVが原因で家を出た配偶者の身元調査
配偶者に暴力や経済的虐待を繰り返すドメスティックバイオレンス(DV)。これが原因で「離婚の話も進まず、まずは家を出て配偶者と離れて暮らしている」という方がいます。しかし、DVをしている本人は「なぜ家を出ていったのか」「どこにいるのか突き止めてやる」といった意識が働き、探偵に身元調査を依頼するケースがあるのです。
この場合、DVは敢えて身を隠しているため探偵などの調査機関に調べられては困ります。そこで、探偵業を営む調査機関が絶対に守らなければならないルールである「探偵業法」が登場するのです。
探偵業法第7条には、
「探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、当該依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。」
引用元:
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=418AC1000000060
とあります。ここでDVが原因の調査を行うと、調査した探偵事務所・興信所が罰せられることになるため、調査はできません。
とはいえ、被害届を出しているにもかかわらず真実を隠して依頼するケースはあります。そのため、配偶者の身元調査を行う場合には、
・その目的
・なぜ調査を依頼したのかという理由
を事前に徹底的にリサーチするのが普通です。調査機関としても、依頼された内容で処分されるのは避けたいところ。もし調査途中でDV目的だと分かれば即中断し、事前のヒアリングでは受け答えや解答をしっかりと見極めます。例えDVが原因ではなくとも、この事前の受け答えの態度や応え方によっては調査が断られるパターンもあるでしょう。
ストーカー目的の身元調査
こちらもDVが原因の調査と同様です。探偵や興信所の調査項目にある「ストーカー調査」を見て、「反対にストーカーが私を調べたらどうしよう」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、こちらも探偵業法で罰せられる調査であり、探偵や興信所は決して犯罪に加担するような調査を行いません。もちろん調査前に徹底的に調べる理由と目的を明らかにし、少しでも調査機関側が「怪しい」と思えば依頼を断るはずです。
ただし、DVが理由の調査でもストーカー目的の依頼でも、調査対象が「DVシェルターなどの施設に入所している」「調査対象者自身がストーカーに悩んでいるうわさを入手した」と分かるケースがあります。その時点で調査は中断され、すぐに被害を受ける可能性があれば警察と連携することも考えられます。
それほど、調査機関が調べる範囲が多岐にわたることを念頭に置いていてください。いくら事前に犯罪目的の調査でないと偽っても、いずれ判明してしまうことでしょう。
国籍・同和差別にかかわる身元調査
例えば調査する目的が「特定の国出身者かどうか調べて欲しい」「特定の地域出身者かどうか調べたい」であれば、探偵・興信所は調査できません。なぜなら、これらはすべて差別目的の調査に分類されるからです。
どんな調査の目的だとしても、調査結果が差別につながってはなりません。浮気やストーカー、素行不良などは調査対象者に直してもらうことができますが、出身地や家柄は本人がどんなに努力しても直しようのないものだからです。この調査結果をもとに、本人の評価や人柄を断定するのはモラルに反することであり、調査自体も探偵業法で禁じられています。
その他、犯罪に利用するための情報収集としての調査
これまでご紹介したものと重なる点がありますが、もちろん犯罪に利用するための調査は探偵・興信所としては引き受けることができません。特に多いのが、以下の依頼です。
・恐喝、誘拐に利用するための身元調査や行動調査
・ストーカー目的の調査
・嫌がらせ目的の調査
例えば、「別れた恋人の行方が分からなくなり、連絡手段も絶たれた。どうしても居場所を突き止めたい」というのは犯罪に利用される可能性が高いものとして考えられます。調査対象者が調べられるためのれっきとした理由がなく、また敢えて身を隠していることも考えられますよね。依頼する本人によっては罪の意識がなくても、調査対象者に夢中になるあまりこのような依頼をすることは稀ですが、起こりえるケースです。
繰り返しになりますが、重要となるのは調査する前の事前リサーチ。調査を依頼すると、チェックシートや質問などによってどういった目的で調査を利用するのかは、確実に聞かれることとなります。中には「違法性がやや高いと思われるグレーな案件」であっても、報酬目当てで目的をよく聞かずに依頼を引き受ける調査機関も存在するかもしれません。しかし、いずれは違法性のある調査が明るみに出て、そう長くは続かないはずです。
本来探偵や興信所は、決して怪しいところではなく「困っている人の問題解決のために立ち回る機関」。他者を陥れるために利用するものではありません。そのため、もし困ったことがあり自分ではできない調査で解決する見通しが立ちそうであれば、まず調査機関を頼ってみるべきです。そのうえで解決の道筋を調査員とともに考え、より過ごしやすい環境を作っていきましょう。
まとめ
探偵や興信所の調査は、「違法性があるのかどうか不安になる」と思われる方もいます。確かにあまり利用しないところであるため、謎めいた印象がありますよね。しかし、実際には探偵業法で調査を引き受けられる基準が決まっており、違法な調査をする探偵・興信所はまずいません。依頼者が本当に困っていることをヒアリングし、調べることによって問題解決を促します。それでも不安に思う方は、まずは無料の相談を。実際に調査依頼するときは、疑問に思った点はすぐに質問するようにしましょう。